好きだからやる、ただそれだけ

久しぶりに、またあの発作がやってきた。

「私、この仕事選んだの間違ってたのかな?」
「占いって、そもそも私に合わないんだよね」
「方向転換した方がいいのかな?」

定期的に占いの仕事に進んだことを後悔し、違う仕事に方向転換した方がいいのではないかという発作が起きる。
これまでも何度かそんなことがあって、それでも続けてきたのは意地があったからかもしれない。

占い師になって5年が過ぎた。4年以上、同じ会社で続いたことがない私が、ここまで続いているのは快挙だ。
「もうそろそろやめてもいいんじゃないか?」そんなことを考えていた。

他の人はどういう理由でその仕事を選んで、そして続けているんだろう?
そんなことを毎日ぐるぐると考えていた時、
偶然オフィスの懇親会でスマホレビューワーYouTuberのMさんと話す機会があった。

彼はいつ会っても、複数台のスマホを持ち歩いている。斜めがけの小さなバックからは、
いくつもいくつもスマホが出てきて、そのスマホのひとつひとつを細かく説明してくれる。
ここがいいとか、ここが凄いとか、これが新しいとか話してくれる。
そうそう、あれとこれの比較っていうのもよくしてくれる。
彼がスマホについて話している姿は、お母さんに買ってもらったミニカーを自慢する
少年のようだといつも思っていた。

そのMさんに「ねえ、Mさん、なんでスマホレビューワーやってるの?」と聞いてみた。
すると彼はシンプルに「好きだからです!」と答えてくれた。
高校生の時、初めてスマホを手にし、「これは凄い」と魅力に取りつかれ、
以来ガジェットやスマホの追っかけをするようになったそうだ。
そしてMさんは続けてこう付け加えてくれた。

「好きじゃなかったらここまで続かなかったと思います。」
その笑顔は、嘘も裏もない、無邪気な笑顔だった。

「好きだから続いた」
なんてシンプルな答えなんだろう。
私の心のど真ん中に、何か大きく重いものがドンとぶつかってきて、
モヤモヤとしたものを吹き飛ばしてくれた気がした。
私がサラリーマンを辞めたのは、好きなことを好きなように思いきりやりたかったから。
でも私が好きなのは占いではなく、人。人と向き合うことが好きなのだ。

苦しそうな顔をしていたら放っておけなくて
「大丈夫ですか?何かできることはないですか?」と自ら声をかける。
隣りに、「もう無理だと思う」と呟き諦めそうな人がいたら、
「大丈夫!きっと何か方法があるから待ってて!」と走って解決策を探しに行く。
これはいわゆるおせっかいかもしれないけど、
私はそうやって人と向き合って、問題や課題を解決していくことが好き。
だって解決したら、また次の道が見えてくるから。だから私は占いという仕事を選んだんだ。

「好きだから続けるなんて、甘いんだよ」
遠い昔、一緒に仕事をした人からはそんなことを言われそうだ。でもそれでも構わない。
だって今、私の周りには、「好きだから」を理由に人生をかけている人がたくさんいる。
そんな人たちと出会える場所に自ら飛び込んだことをもっと誇りに思おう。
私が続けている理由。それは占いがどうか?ということではない。
自分の好きを選択した自分をもっと誇りに思う毎日にしよう。

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