過去、そして現在、
自分に起きているネガティブなことは、
なかなか忘れることができない。
それでもなんとか前に進みたい、
と考えている人に、
この本は勇気を与えてくれるはず。
適度な長さで読みやすい
3つのショートストーリーの主人公たちは、
少しずつどこかで繋がりがある。
主人公たちは
それぞれに悩みを抱えているが、
そこにふと現れるのが「満月珈琲店」。
この珈琲店、その名の通り満月の夜に現れる。
珈琲店のマスターと店員は、
なんと猫!
さらにマスターは、
西洋占星術を使って星を詠み、
悩める人々の笑顔を取り戻す。
マスターに話を聞き、
極上のスイーツを食べ、
悩める主人公たちが、
また一歩前に進もう
という勇気を持ったところで
いつの間にか満月珈琲店は
消えていくというストーリー。
実は、私がこの本を手に取った時、
占いの仕事で、
ちょっとスランプに陥っている時だった。
西洋占星術を使って
お客様とお話をする時に、
いい表現が浮かばず、
うまく言いたいことが言えずに悩んでいた。
日本人は、
ほぼ100%が自分の星座を知っているくらい
星占いが身近にあるものだが、
星占いのもとになっている西洋占星術は、
すっごく細かくて使うのが難しい。
「どんな言葉を使ったら、
わかりやすくできるんだろう?」
その悩みを
一気に吹き飛ばしてくれたのが、この本。
面白く
わかりやすく
興味を持てる言葉を使い、
短編小説の中で西洋占星術を説明している。
例えば、
「25歳くらいの時に、
いつも誰かに対して、
ライバル心を持っていた。
人とぶつかってばかりだった。」
その理由が、
西洋占星術でここをみれば
ハッキリわかるんだよ
ということが、とても端的に説明されている。
ストーリーの中で、
誰にでもわかる言葉で
西洋占星術のことを説明をしてくれているのは、
満月珈琲店の猫のマスターなのだ。
満月の日、
突然現れる満月珈琲店に
悩める人々がやってきて、
猫のマスターと話しているうちに、
絡んでいた糸がほぐれ、
解決の糸口が見えてくる。
そのタイミングで
ふと出される極上のスイーツ。
このスイーツが、
ストーリーを盛り上げる。
なんといっても、このスイーツ、
読んだ星の内容がちりばめられている、
そのお客様だけに特別に作られたものなのだ。
実は、本の1ページ目、2ページ目には
カラーでそのスイーツが描かれているから、
五感をくすぐられ、
スイーツを味わってみたい気持ちは
止まらなくなる。
この小説に書かれている一説は、
とても心に響く。
「自分を理解する」というのは、「自分を大切にすることにつながります。
満月珈琲店の星詠み 第一章 水瓶座のトライフル より
そうすると、あなたという星が動き出すんですよ」
「占いなんて」って思っている人は多い。
でもその「占い」のひとつである
西洋占星術というものに
ぜひ一度触れて欲しい。
猫のマスターが言うように、
私たちひとりひとりも
宇宙の中に存在するひとつの星。
だから宇宙の星から
受けている影響を知ることは、
自分の人生を輝かせるために、
必ずプラスになるはず。
この本は、読んでいるうちに、
現実と夢の世界をいったりきたりする感覚になる。
その感覚から離れた時、
自分の心が軽くなっていることを感じることができる。
心が疲れた満月の夜、
あなたの前にも
満月珈琲店が現れるかもしれない。